会社設立のときに必要になる労働保険、社会保険の手続きとは

労働者を雇う会社を設立するときには、労働保険や社会保険などでいろいろな手続が必要になります。
労働保険とは労災保険と雇用保険をあわせたもので、社会保険は健康保険と厚生年金をあわせたものをいいます。
労働者をパートやアルバイトでも、1人でも雇用していれば、労働保険が成立し、労働保険料を支払わなければなりません。

会社設立(労働者を雇うタイミング)で、必要となる手続

会社設立または労働者を雇うタイミングで、最低限下記の5つの手続きが必要です。

(1)労働保険 保険関係成立届
(2)雇用保険適用事業所設置届
ー被保険者資格取得届
(3)労働保険概算保険料申告書
(4)健康保険・厚生年金保険新規適用届
ー被保険者資格取得届
ー口座振替依頼書

そのほか場合によっては必要な手続きとしては下記があります。

(6)建設物・機械等設置届(特定の業種で建設物や機械を設置する場合、特定の機会等を設置する場合)
(7)雇用保険事業所非該当承認申請書(小規模な支店設置等の場合)
(8)労働保険継続事業一括申請書(本社で一括処理をする場合)
(9)労働保険代理人選任届(代理人をあらかじめ選任する場合)
(10)健康保険一括適用承認申請書(本社で一括処理する場合)
(11)健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届(事業主変更、昇給月、賞与支払予定月、社会保険労務士の委託等)

今回は、最低限必要な手続きとして(1)~(4)を紹介します。

(1)労働保険 保険関係成立届・(2)雇用保険適用適用事業所設置届

労働者(パートタイマー、アルバイト含む)を一人でも雇用すると、労働保険(労災+雇用保険)の「適用事業」となるため、
その手続を行うことになります。
この手続の期限は、保険関係が成立する日(労働者を1人でも雇うとき)の翌日から10日以内。
労働保険の保険関係成立届と同時に、雇用保険適用事業所設置届も提出することになります。

建設業や林業などを除くと、多くは一元適用事業となるため、
保険関係成立届を所轄労働基準監督署長に提出し、次に受理印のある成立届の事業主控えを添付して
設置届を管轄公共職業安定所長(ハローワーク)に提出します。

設置届を提出するときには、登記事項証明書、賃金台帳、労働者名簿などが必要となります。
また、労働者を雇用保険に加入するため、被保険者資格取得届も提出することになります。

この手続きによって、設立した会社に労働保険(労災+雇用)を適用するための手続きが終わります
なお、法人だけではなく個人事業主でも、労働者を1人でも雇用すると、労働保険の適用となるため、
この手続が必要です。

(3)労働保険 概算保険料申告書

労働保険の保険料は、年度(4月1日~翌年3月31日)ごとに、その年度分を概算して支払います。
会社を設立(労働者を1人でも雇用するタイミング)したときに、保険関係が成立するため、
その日の翌日から50日以内に、この概算保険料申告書を所轄都道府県労働局に提出します。

労働保険料をいくら支払うのか。その計算式は

賃金総額×保険料率

労災保険と雇用保険があるため、さらに細かく見ると、

POINT

労災保険料:労災保険対象の賃金総額×労災保険料率
雇用保険料:雇用保険被保険者の賃金総額×雇用保険料率

上記の合計が労働保険料です。

設立の翌年度からは、毎年6月1日から7月10日までの間までに支払うことになります。

なお、9月30日までに保険関係が成立した場合、保険料を分割納付できる場合があります。

POINT

・概算保険料額が40万円(労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している場合は20万円)以上
・または、労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合

上記で、5月31日までに成立している場合は3回に分割して納付できます。

 第1期第2期第3期
期間成立日~7/318/1~11/3012/1~3/31
納期限成立日の翌日から50日10/30
※労働保険組合に委託している場合は11/14
1/31
※労働保険組合に委託している場合は2/14

上記で、6月1日~9月30日までに成立している場合は2回に分割して納付できます。

 第1期第2期
期間成立日~11/3012/1~3/31
納期限成立日の翌日から50日1/31
※労働保険事務組合に委託している場合は2/14

(4)健康保険・厚生年金保険新規適用届

健康保険、厚生年金の適用事業所に該当する場合には、その日の翌日から5日以内に、管轄年金事務所に「新規適用届」を提出します。
この書類には、法人番号を記入します。

適用事業所に該当する場合というのは下記になります。
(1)法人で常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用する場合
(2)常時5人以上の従業員が働いている個人事業所

個人事業主でも、常時5人以上の従業員が働いている場合は社会保険の適用事業所になりますが、
5人以上の個人事業所であってもサービス業の一部(クリーニング、飲食店、ビル清掃業等)や農業、漁業等は除きます。
また、4人以下の個人事業所は任意適用です。

添付書類として、法人の場合は登記簿謄本の原本、法人番号指定通知書等のコピーが必要です。
個人の場合は事業主の世代全員の住民票が必要です。

適用届と同時に、被保険者となる方全員の被保険者資格取得届、被扶養者異動届、保険料預金口座振替依頼書を提出します。

会社を設立した事業主は、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の4つの保険に加入する義務があります。
もし加入手続きをしない場合、保険料や給付金を徴収されたり、罰則もありますので、必ず手続きしましょう。