スタートアップ企業でも、労働者を1名でも雇用すると必要になる手続きがあります。
1、労働条件の通知
労働条件通知書を作成し、労働者に労働条件を明示する必要があります。
下記の事項は明示が必須の内容です。
(1)労働契約の期間
(2)有期労働契約の場合は更新する基準
(3)就業の場所及び従事する業務
(4)始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇等
(5)賃金・昇給に関する事項
(6)退職に関する事項
この他に、パートタイムの場合は、下記の4つの事項を明示する必要があります。
(1)昇給の有無
(2)退職手当の有無
(3)賞与の有無
(4)相談窓口
2、労働基準法の適用を受ける「適用事業報告書」の提出
業種を問わず、所轄の労働基準監督署長に適用事業報告を提出する必要があります。
3、労働保険、社会保険への加入
労働保険への加入(農林水産業を除く)、および、健康保険、厚生年金(社会保険)への加入が必要になります。
4、36協定の締結、その他労使協定の締結
時間外労働を行う場合、36協定の締結・労働基準監督署への提出が必要です。
その他の労使協定も、必要になる場合があります。
就業規則がないことで起こるトラブル
社員が10人以下の場合、就業規則の設置義務はありませんが、会社と従業員のルールである「就業規則」を作成していないと、トラブルが起こりやすく、また、トラブルへの対処が難しくなります。
たとえば…
・社員の退職
法律上、従業員は、退職を申し出て、2週間後に退職できます。就業規則にルールの記載がないと、法律上の規定が適用されることになります。
・社員の懲戒処分
従業員に職務怠慢などの事情が生じた場合、懲戒免職や減給などの処分が考えられますが、就業規則がない場合は、会社の都合で懲戒処分をすることはできません。就業規則なしで懲戒解雇を行う場合、不当解雇となる可能性もあります。
・社員が行方不明
社員が行方不明になり連絡がつかない場合、解雇にしようと思っても、相手が解雇になったことを知らないまま、手続きをすることはできません。このような事態に備えるには、就業規則にルールを書いておく必要があります。
また、上記のような事例だけではなく、法律が随時改正されるため、それにあわせた対応も必要です。
トラブルが起きると、どんなに価値のある事業をしていても、健全な事業の発展が阻まれることになります。
労働者を1人でも雇用する場合は、法律を遵守することはもちろんですが、労使のトラブルを未然に防ぎ、労働者の方が前向きにいきいきと働いてもらえる会社を、ぜひ一緒につくっていきましょう。